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北海道西北部の旅 その4 [秘境駅じゃない旅]

翌日は、朝ごはんを食べてから、すぐに港に向かいました。
船に乗って、この日は、天売島、焼尻島に
向かうことになっていたのです。

朝、旅館の方が、「昨日は時化ていて、船が動かなかったんですよ。
今日は動くようなので良かったですね。」
とおっしゃっていて、あぁ良かった!と思って港に向かいました。

天気はあんまり良い、という感じではなかったですが、
まぁ、雨は降っていない、という感じでした。

船はそれほど大きくはなく、
中は座席はなく、絨毯の部屋になっていて、
(2等船室でした。1等船室には椅子があるらしい。)
お客さん達は、思い思いの場所に座ったり寝たりしていました。

船、というと、私は観光地のフェリーぐらいしか
乗ったことがなかったので、
ちょっとうれしくなりました。

乗っている方々も、観光客より地元の方が多いようでした。
漁師(船のプロ!)と思われる、
日焼けしたたくましいおじさんやおじいちゃん達は、
絨毯に座らずに、すっくと立っていました。

船はゆっくりと動きだし、港の中をするすると行きます。
ところが・・・港を出たところから次第に揺れはじめました。
そしてやがて、私が経験したことのないような、スゴい揺れに・・・

プロのおじさんたちは、それでも平気で
前を向いて立っていました・・・
でもやがて、部屋のあちこちで、
(これ以後、お食事中の人は読んではいけません)

何人かの方々の・・・の音が・・・

私は普段、船や車に酔いやすいので、
これは私も時間の問題で、ダメかも、と思いました。
そしてとにかく、一番自分が楽なポジションを探したところ、
左を下にして寝ているのが一番良い、とわかったので、
とにかく寝ました。

ダンナさんも私と向かい合うように、右を下にして、
寝転がりました。

でも、この態勢で、1時間半近く・・・
生きて島に渡れるのか!?私・・・

ものすごく揺れる船でそうやってしばらく寝ていたら、
聖書の話を思い出しました。
ガリラヤ湖が突然嵐になって、船が沈みそうになるぐらい、
激しく揺れた時、
弟子達はものすごく怖がって騒いだけれど、
イエス様は眠っておられた。
弟子達が起こすと、イエス様が波を叱って静かにされた・・・
という話・・・

これまで、嵐の船で、イエス様はよく眠れたものだなぁ、
と思っていたのですが、
「この船は沈まない。」という安心感さえあるのならば、
揺れる船の中では寝ていた方が酔わないのだなぁ、
ということがよくわかりました。

それで、揺れに抵抗しないで、船といっしょに
ゆらゆらしていたら、それほど辛くなりませんでした。

と・・・ところが・・・
私と同じように寝ていたはずのダンナさんが突然、
むくっと起き上がり、
ヨロヨロと船備え付けのビニール袋の方へ
這って行くではありませんか!?

そして、結婚して初めて、愛しのダンナさんが
・・・しているのを私は目撃したのでした!

私は、「あ、介抱しなくちゃ。」と思って、
起き上がったのですが、
起き上がると私も「うっ・・・」とこみ上げて来る感じになるのと、
ものすごい揺れのために、ダンナさんに近寄ってさする、
という動作さえ難しかったので、
ダンナさんが苦しんでいるさなか、
妻は背中を向けて、寝ているしかないのでした。
(右を下に寝返りをうつだけでも、「うっ・・・」となるので)

私は、自分の愛情の限界を見たように思いました・・・
普段どんなに「愛しているわ♪」と言っていても、
船がちょっと揺れただけで私の愛は簡単に砕かれ、
ダンナさんの苦しみに寄り添うことさえできなくなるのだわ・・・
(-_-;)
あぁ、こんな愛のない妻を赦して・・・

なんてことを頭のすみっこで考えながらも、
頭とからだのメインは、自分がどうすればとにかく、
この揺れの中で「うっ・・・」とならずに居られるか、
ということに専心しているのでした・・・

そして、とうとうダンナさんが、
「あの・・・天売島まで行くのは無理そうなので、
焼尻島で降りても良いですか?」と言います。
本当ははじめに遠くの天売島に行き、午後になってから
焼尻島に渡る予定だったのですが、
ダンナさんはとうとう限界になってしまったようでした。

船はやっと焼尻島に着き、ダンナさんと私は降りました・・・。
降りてからしばらく、待合室でゆっくりと座って、
ダンナさんの気分が良くなるのを待ちました。

しかし・・・ダンナさんはいつまでも気分が良くなりません。
船の待合室のベンチでは、落ち着いて休めないのかもしれません。

そこで、その夜泊まることになっていた、
焼尻島の宿、磯乃屋に電話したところ、
まだ午前中でしたが、お部屋で休んで良いとのこと。
そして、すぐにご主人が車で迎えに来て下さいました。
http://www.isonoya.com/

ダンナさんがひどい船酔いになってしまったことを伝えると、
お風呂で暖まると治りますよ、とご主人が教えて下さったので、
早速宿のお風呂に入れて頂いたのですが・・・
それでも良くならず・・・
結局ダンナさんは、夕方までお部屋で寝ていました。

私は・・・妻たる者、ずっとダンナ様のお側にいなくちゃ、
とも思ったのですが、
宿のご主人が部屋に連絡を下さって、
これから宿のロビーで、小鳥に調査用の足輪をつける作業が
あるので、見学しますか?という、おもしろそうなお誘い、
ダンナさんを部屋に置いて、見に行きました。

するとロビーで、毎年この島で小鳥の調査をしているという方が
おられました(すべて許可を受けたボランティアなのだそうです)。

調査方法は、かすみ網を島のあちこちに仕掛けておいて、
そこにかかった小鳥を袋に入れて、通し番号のついた足輪をつけ、
(足輪のサイズは何種類もある)
その種類や年齢、性別、足輪の番号などを記録してから、
窓から再び放すのです。

そういえば、脇に置いてある白い袋が、時々動いたり、
「チチチチ・・・」と鳴いたりしています。

その袋から、小さな小鳥を一羽一羽取り出して、
作業なさっているのでした。
FH000001.JPG

その記録は、全国から山科鳥類研究所に送られ、
世界でデータベースとして活用され、どの鳥がどの道筋で
どんな風に渡って行くのか、その生態が明らかにされて行くそうです。
全国にそういうボランティアが、たくさんおられて、
すべて自費で調査なさっているそうです。

普段は遠くから見たり、テレビで見たりするだけの、
色鮮やかな小鳥達が、目の前で見ることができて、
また、その方の鳥の詳しいお話も伺えて、
(その方が本当に、鳥が大好きなんだなぁ、ということが伝わって来ました。)
とても良い体験になりました。

鳥を見てから部屋に戻っても、ダンナさんの具合は
まだよくならないようでした。
そこで私は一人で島を散歩しました。

焼尻島には、島を一周する道と、島の中を行くサイクリングコースや
お散歩コースが整備されています。
お散歩コースは国定公園で、かなり歩きやすい道になっていました。
オンコの木(本州では、イチイと呼ばれている木だそうです)が、
たくさん生えていて、おもしろい形になった木には、名前がついていました。
100502_1542~01.jpg100502_1534~01.jpg
こんな橋なんかもありました。
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夕方に戻ると、ダンナさんもやっと回復していて、
夜は宿のお食事を二人でおいしく頂きました。
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ほるん

あらまぁ、大変でしたね。
私も、船はダメ。中学校の修学旅行で北海道(!)に行った帰り、
仙台までのフェリーが時化に遭い・・・行きの青函連絡船は、天候にも
恵まれ、と~っても楽しく乗船できたのに・・・
それ以来、船も舟も、ダメです。

天使の旦那様にも、弱点があった!
ハプニングがあったりで、お疲れだったんでしょう。
状況、お察しいたします。
by ほるん (2010-05-10 05:13) 

くっきー

北海道へは 車で道内1ヶ月近く回るのでフェリーで2回行ったことがあります。1等船室でベッド TV シャワールームが付いた個室だったのと わりと大きい船なので船酔いはしませんでした。あと 油壺でクルーザーに乗せてもらったときは 5m以上の波で時化ていて目が回りそうだったのですがなんとか無事に降りれました。オーナーのかたに これで酔わなかったら世界一周しても大丈夫だよ と言われました。

気分が悪くなるって言うのは本当につらいので あらかじめ気休めかもしれませんが酔い止めの薬を用意しておいたほうがいいですね。
ちなみに 酔い止めにビールをのんでますが・・(*・Θ・)_θ  
by くっきー (2010-05-10 10:36) 

めう三毛女

ほるんさん、

おぉ・・・青函連絡船・・・なつかしい!
それにしても、海って、お天気が悪くなくても、
荒れる時は荒れるのですね。

いつもは先に気分が悪くなる私が大丈夫だったのに、
今回だけはダンナさんでした。
後になってわかったことですが、
逆流性食道炎とか胃炎の治療中だったので、
それで酔いに弱くなっていたみたいです。
by めう三毛女 (2010-05-10 17:08) 

めう三毛女

くっきーさま、

おぉ、そんな豪華な便もあるのですね!
予約の必要な、高速フェリーはそうなのかしらん?
私達が行った時は、高速フェリーは波が高くて、欠航でした。

行きで懲りた私達、帰りはばっちり酔い止めを飲んで、
乗ったのですが・・・帰りは静かで拍子抜けでした・・・(^_^;)
by めう三毛女 (2010-05-10 17:11) 

めう三毛女

ほりけんさん、ありがとうございます。
by めう三毛女 (2010-05-10 17:30) 

around57

ご主人様、めうさん大変な目に遭いましたね(涙)

でも宿泊先のホテルの方の優しい計らいで
その後、楽しい旅が出来て良かったですね。
by around57 (2010-05-10 18:21) 

めう三毛女

around57さん、

そうなんです!
今回は、色々とハプニングはあったのですが、
その分多くの方々の優しさに助けられたように思います。
そのお陰で楽しく旅ができて、
本当にありがたいなぁ、と思いました。
by めう三毛女 (2010-05-10 18:38) 

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