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貧しい日本の「勝ち組」(怒) [教師日記]

今日は9月に入って最初の、某音楽高校への出勤がありました。

そこは、普段制服のある学校なのですが、今日はみんな、私服で来ていました。

理由を尋ねたら、
「今日は午前中だけ授業で、午後からみんなでオペラを観に行くから。」
と言います。
チラシを見せてもらうと、外国から来た歌劇場の、豪華な舞台です。

おぉ、オペラに行く時は、外国のように、各自おしゃれして行く、
という教育なのかしらん・・・と学校の粋な計らいに感心していたら、
全然そうじゃない理由でした。

前回、みんなで制服で(考えたら、制服が彼らの正装な訳ですものね)行ったら、
周りの観客から、
「どうして高いお金を払って、学生がオペラなんか観に来るのだ?」とか、
「うるさい」とか、苦情があったのだそうです。

うるさい、と言っても、付き添いのプロの音楽家でもある先生方から見て、
決してうるさく騒いでいた訳ではなく(休憩時間中の話し声程度)、
上演中はもちろん静かだったそうです。
(だって将来はそういう舞台に自分が立つために、勉強している子達ですから)

だけれど、制服を着ているだけで、「ぜいたくだ」「うるさい」
と思われた、ということのようです。
それで今年は私服で、ということになったそうです。

学生が、しかも音楽を勉強している学生が、
なぜ一流のオペラを観てはいけないのでしょうか?

以前私が留学していた国では、開演30分前になっても空席があると、
一番高い席であろうと、どこであろうと、
学生はほとんどのコンサートやオペラを、約1000円で観ることができました。

だから、貧乏な学生でも一流の演奏がいつでも聴けたし、
(一応、オペラを観に行く時は、ジーンズはだめで、
それなりにちゃんとした格好をして行きましたが)
そういう学生がいずれ一流の演奏家に育って行くのでした。

制服の彼らに苦情を言った人達は、
一晩何万円もする入場料を払える、中流から上流の生活をする人々です。
(高校生達には、音楽学校だから、ということで、
今回安く切符を買えるルートがあったそうです。)
その人達は、外国から来た一流の演奏家や芸術家の舞台を楽しむことはあっても、
自分達が若い演奏家や芸術家を育てる、という視点は持っていないのでしょうか?

自国の若い人々は育てずに、出来上がったものだけ楽しんで終わり・・・
もしもそうだとしたら、日本の「勝ち組」の精神は、何て貧しいのでしょう。
種をまいても育てることのできない、不毛の土地、という感じです。

こんな土地では、豊かな精神、豊かな音楽、豊かな人間は育たないです。

学生達、堂々とオペラを観て、楽しんで来なさい!
豊かな人間になりなさい!
この世の貧しい心に同調しないで、自分らしさを持ち続けなさい!
*****************

・・・ということで怒っていたら、

着ているものがみすぼらしいから、とか、
おっさんばかりで怖いから、という理由で、
炊き出しに関して、偏見を含んだ苦情が
役所に寄せられることを思い出しました。

見てくれで人を判断して、すぐに排除しようとして、
色々な人が社会にいることを許さない、という雰囲気は、
私は大っきらいっ!ふんっ!
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くっきー

ドナルド・キティ 炸裂ですね!!

そんなことだと BRICs にぬかれてしまうのです・・・
 
by くっきー (2009-09-09 23:14) 

にぼし

ここのところ、そんなこと考えちゃいけないと思いながらも、
様々な問題が「自分のストレスの鬱憤を他者に向かって
吐き出して解消しようとする心の貧しさ」を原因としている
ような気がしてなりません。

みんなそんなに余裕がないほど疲れているのでしょうか・・・・・・
by にぼし (2009-09-10 02:06) 

めう三毛女

くっきーさん、
そうか、私は猫であると同時に、ドナルドでもあったのですね・・・
最近よく見る「ニャフラック!」って、
私のことだったのでしょうか・・・?
でも、私の場合は「みんなの幸せ」に役立つかどうかは不明です。
by めう三毛女 (2009-09-10 08:00) 

めう三毛女

にぼしさん、
にぼしさんの深い考察に、なるほど、と思いました。
確かにそういう傾向が、今の日本では、
色々な局面で見られるような気がします。

私も単純に怒っていてはいけませんね・・・それは更に、
私自身の心の貧しさになって行くのかなと思いますし・・・

今朝も、1年間に3万人以上の国内の自殺者を
何とかくい止めるための取り組みをニュースで紹介していました。
みんな疲れて・・・疲れ果てている・・・?
by めう三毛女 (2009-09-10 08:09) 

さんび

   >見てくれで人を判断して、すぐに排除しようとして・・・

またまた色々な思索が心に走ります~。

とっても個人的なことですが・・・

病院行き・・・。
いかなる「立場」としてでも、「病院」と言う看板の掲げてあるタテモノに
行くことが

私にとって意外にも
「好き・心地よい」(ちょっと語弊がありますが)理由もあります。
病院は
病者への「偏見」が少ないところだからかも知れません。
(もちろん、患者さん(病人さん)としての、位置づけみたいなものが
あるにはあるのですが・・・)


社会って、(特に、日本!!)
「違い」や「区別」を→「即座!差別」とすぐイコールにしがちですよね??


ふん!!ふん!!(どうも、通院のあった日はときおり
結果のいかんに関わらず、
「ハイ」な書き込みが多くてごめんなさい 。。。゛(ノ><)ノ
by さんび (2009-09-10 19:23) 

めう三毛女

さんびさん、
今日はお疲れ様でした・・・
本当にお疲れになったことと思います。

>病院は
>病者への「偏見」が少ないところだからかも知れません。

何となくわかるような気がします。
実は私が炊き出しに行く時も、同じようなものを感じます。

>社会って、(特に、日本!!)
>「違い」や「区別」を→「即座!差別」とすぐイコールにしがちですよね??

これも、わかります!
特に日本って、違う人がいることに慣れていないのか、
拒否反応が強いように思います。

もっとゆるゆるとそれぞれの違いをおもしろがれる
社会になったらいいなぁ。
by めう三毛女 (2009-09-10 21:17) 

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